うちの犬、足を舐めるのが止まらない!ストレス?病気?愛犬の気持ちと解決策

「うちの愛犬が足を舐め続けていて心配…」そんなお悩みはありませんか?犬が足を舐める行動には、ストレスや病気、アレルギーなど多様な原因が隠されています。この記事では、愛犬が足を舐める理由を徹底解説し、正常な行動との見分け方、獣医さんに相談すべきサイン、そして自宅でできる対処法から専門家による解決策まで、具体的な方法を網羅的にご紹介します。愛犬の健康と心の安心を取り戻し、健やかな毎日を送るためのヒントがここにあります。

はじめに

愛犬が頻繁に足を舐めている姿を見て、「もしかしてどこか悪いのかな?」「ストレスを感じているのかな?」と心配になったことはありませんか? 犬が足を舐める行動は、飼い主様にとってよくあるお悩みの一つです。

この行動は、単なる癖のように見えることもありますが、実は愛犬からの大切なサインである場合も少なくありません。例えば、痒みや痛みといった身体的な不調のサインかもしれませんし、あるいはストレスや不安といった心理的な要因が隠されている可能性もあります。

私たち鶴橋整形外科クリニックでは、飼い主様が愛犬の健康と行動について抱える疑問や不安に寄り添い、適切な情報を提供することを大切にしています。この記事では、愛犬が足を舐める行動について、考えられるあらゆる原因を深く掘り下げ、それぞれの状況に応じた具体的な解決策を詳しく解説します。

愛犬の足舐め行動が気になっている飼い主様が、この記事を通じて愛犬の気持ちを理解し、適切なケアと対策を見つけるための一助となれば幸いです。愛犬が健やかで快適な毎日を送れるよう、一緒に考えていきましょう。

犬が足を舐めるのはなぜ?考えられる主な理由

愛犬が足を舐める行動には、さまざまな理由が隠されています。単なる癖だと軽視せず、その背景にある愛犬の気持ちや体のサインを理解することが大切です。ここでは、考えられる主な理由を「正常な行動」「心理的な原因」「身体的な原因」の3つの視点から詳しく解説します。

正常な行動の場合

犬が足を舐める行動は、必ずしも問題があるわけではありません。多くの場合、犬にとって自然なグルーミング行動の一つとして行われます。

  • 身だしなみや清潔を保つため: 猫が毛づくろいをするように、犬も足についた汚れを舐め取って清潔に保とうとします。散歩後や食後に一時的に舐めるのは、ごく一般的な行動です。
  • リラックスや安心感を得るため: 舐める行為には、犬自身を落ち着かせ、安心させる効果があります。寝る前や、飼い主さんのそばでくつろいでいる時などに、心地よさから足を舐めることがあります。これは人間が爪を噛んだり、髪をいじったりするのと似た、自己鎮静行動の一種とも考えられます。

これらの場合、舐める行動は一時的で、足に赤みや腫れ、脱毛などの異常が見られない限り、過度に心配する必要はありません。

心理的な原因の場合

足舐めが頻繁になったり、特定の状況下で激しくなる場合は、愛犬の心理的なストレスや感情が原因となっている可能性があります。犬は言葉を話せないため、行動でその気持ちを表現することがよくあります。

ストレスや不安

犬はストレスを感じると、その気持ちを和らげるために足を舐めることがあります。これを「転位行動」と呼びます。環境の変化や飼い主さんのライフスタイルの変化など、さまざまな要因がストレスの引き金となります。

  • 環境の変化: 引っ越し、新しい家族(赤ちゃんやペット)の増加、来客、工事の音、雷などの大きな音に敏感に反応し、不安を感じることがあります。
  • 飼い主との関係性: 飼い主さんの忙しさや、愛犬とのコミュニケーション不足がストレスになることもあります。

これらのストレスは、愛犬が安心感を求めて自分の体を舐める行動につながることがあります。

退屈や運動不足

十分な運動や精神的な刺激が不足していると、犬は退屈しのぎに足を舐めることがあります。特に、高い運動量を必要とする犬種や、知的な遊びが好きな犬にとって、退屈は大きなストレスになり得ます。

  • エネルギーの発散不足: 散歩の時間が短い、運動量が足りない、遊びの機会が少ないなどが原因で、有り余るエネルギーを足舐めに費やしてしまうことがあります。
  • 刺激の不足: 一日中家で過ごし、新しい刺激や挑戦がないと、犬は退屈を感じ、自分で遊びを見つけようとして足を舐め続けることがあります。

退屈からくる足舐めは、他の破壊行動や無駄吠えと併発することもあります。

分離不安

飼い主さんが外出する際や、一人で留守番をする際に、過度な不安を感じる「分離不安」も、足舐めの原因となります。分離不安の犬は、飼い主さんがいない間にパニック状態になり、その不安を紛らわすために自分の体を傷つけるほど舐め続けることがあります。

  • 主な症状: 足舐めの他に、無駄吠え、破壊行動(家具を噛む、壁を引っ掻くなど)、粗相(トイレの失敗)、食欲不振などが同時に見られることが多いです。
  • 特徴: 飼い主さんの外出準備が始まると落ち着きがなくなったり、帰宅時に過剰に興奮したりする傾向があります。

要求行動

犬が足を舐めることで飼い主さんが注目してくれる、構ってくれる、といった経験をすると、それが「要求行動」として定着することがあります。

  • 学習による行動: 最初は無意識に舐めていた行動が、飼い主さんの反応(「どうしたの?」と声をかける、撫でる、おやつを与えるなど)によって強化され、「舐めれば構ってもらえる」と学習してしまいます。
  • 注意を引くため: 飼い主さんが忙しくしている時や、自分に注目してほしい時に、意図的に足を舐めてアピールすることがあります。

この場合、飼い主さんの反応の仕方が、行動の悪化や定着につながっている可能性があります。

身体的な原因の場合

足舐めが止まらない、あるいは急に始まった場合は、何らかの身体的な不調や痛みが原因となっている可能性が非常に高いです。特に、舐めている部分に赤み、腫れ、脱毛、ただれなどの異常が見られる場合は、早めに獣医さんに相談することが重要です。

皮膚炎やアレルギー

犬が足を舐める最も一般的な身体的原因の一つが、皮膚の痒みや炎症です。アレルギー性皮膚炎や感染症によって強い痒みが生じ、その痒みを和らげようと舐め続けます。

主な皮膚炎やアレルギーの種類と原因は以下の通りです。

皮膚炎・アレルギーの種類主な原因症状の例
アトピー性皮膚炎環境中のアレルゲン(花粉、ハウスダスト、カビなど)強い痒み、赤み、湿疹、脱毛、皮膚の肥厚
食物アレルギー特定の食物成分(鶏肉、牛肉、小麦、乳製品など)消化器症状(嘔吐、下痢)を伴う痒み、皮膚炎
接触性皮膚炎刺激物やアレルゲンとの直接接触(シャンプー、洗剤、特定の植物など)接触部位の赤み、痒み、湿疹、水ぶくれ
マラセチア皮膚炎マラセチア菌(常在菌)の異常増殖ベタつき、油っぽい臭い、赤み、痒み、脱毛
膿皮症細菌感染(ブドウ球菌など)赤み、膿疱、かさぶた、脱毛、痒み

これらの皮膚トラブルは、放置すると悪化し、慢性的な炎症や二次感染を引き起こすことがあります。

外傷や異物

肉球や指の間に怪我や異物が挟まっている場合も、痛みや不快感から足を舐め続けることがあります。

  • 切り傷や擦り傷: 散歩中にガラスの破片や鋭利な石、アスファルトで肉球を傷つけることがあります。
  • 爪のトラブル: 爪が折れた、ひび割れた、巻き爪になっている、あるいは爪の根元に炎症がある場合も、痛みから舐めることがあります。
  • 異物: 草の種子(イネ科植物の芒など)、小石、トゲ、木の破片などが指の間や肉球に刺さっていることがあります。

見た目には分かりにくい小さな傷や異物でも、犬にとっては大きな不快感となります。

関節炎や痛み

足の関節や骨に痛みがある場合も、その痛みを和らげようと患部を舐めることがあります。これは、人間が痛む部分をさすったり揉んだりするのと似た行動です。

  • 関節炎: 特に高齢の犬に多く見られる変形性関節症や、股関節形成不全、膝蓋骨脱臼などの整形外科的な疾患が原因となることがあります。
  • 捻挫や打撲: 転倒したり、高いところから飛び降りたりして、足の関節や筋肉を痛めている可能性もあります。

舐める行動に加え、跛行(足を引きずる)、散歩を嫌がる、段差を避けるなどの症状が見られる場合は、痛みが原因である可能性が高いです。獣医によるレントゲン検査やエコー検査で診断が可能です。

寄生虫

ノミ、ダニ、真菌(白癬菌)、疥癬などの寄生虫が足に寄生している場合も、激しい痒みを引き起こし、犬がその部分を執拗に舐めたり噛んだりする原因となります。

  • ノミ・ダニ: これらの寄生虫は強い痒みを引き起こし、アレルギー性皮膚炎の原因にもなります。足の指の間や肉球の周りにも寄生することがあります。
  • 真菌(白癬菌): カビの一種である白癬菌が皮膚に感染すると、円形脱毛やフケ、赤み、強い痒みを伴うことがあります。
  • 疥癬: ヒゼンダニというダニが皮膚に寄生することで、非常に強い痒みを引き起こします。特に耳の縁や肘、足の関節などに症状が出やすいです。

寄生虫は肉眼では見えにくいことも多いため、定期的な予防と、異常が見られた際の早期の獣医による検査が重要です。

愛犬の足を舐める行動、どの程度から注意が必要?

犬が足を舐める行動は、一見するとごく自然な仕草に見えます。しかし、その行動が過剰になったり、特定の症状を伴う場合は、愛犬からの重要なサインかもしれません。単なるグルーミングの範疇を超え、何らかの身体的または心理的な問題を抱えている可能性を考慮し、注意深く観察することが大切です。

ここでは、愛犬の足を舐める行動が、どの程度のレベルになったら獣医師への相談を検討すべきか、具体的なサインとその背景にある可能性について詳しく解説します。

獣医さんに相談すべきサイン

以下に示すサインが見られた場合、愛犬の健康に何らかの異常がある可能性が高いため、早めに動物病院を受診することをおすすめします

足の赤みや腫れ

足を舐め続けることで皮膚に炎症が起き、赤くなったり腫れたりすることがあります。これはアレルギー反応、細菌感染、真菌感染、あるいは皮膚炎の初期症状である可能性が考えられます。特に、触ると熱を持っている場合や、犬が痛がるそぶりを見せる場合は、炎症が進行している証拠です

脱毛やただれ

慢性的に同じ場所を舐め続けると、その部分の被毛が抜け落ち、皮膚がただれてしまうことがあります。舐性皮膚炎と呼ばれる状態であり、皮膚のバリア機能が損なわれ、二次的な細菌感染や真菌感染を引き起こしやすくなります。皮膚が湿っぽくなったり、かさぶたができたりしている場合は、速やかな対処が必要です

出血や膿

舐めすぎによって皮膚が傷つき、出血したり、細菌感染により膿が出たりすることがあります。これは皮膚の損傷がかなり進んでいる状態であり、放置すると重篤な感染症に発展する恐れがあります。特に、悪臭を伴う膿が出ている場合は、感染がかなり進行している可能性が高いです。

跛行や元気がない

足を舐める行動に加えて、歩き方がおかしい(跛行)、足をかばう、触られるのを嫌がる、食欲がない、元気がないといった全身症状が見られる場合は、足の痛みや関節炎、あるいは骨折などの整形外科的な問題、さらには全身性の病気が隠れている可能性があります。舐める行動が痛みを和らげようとするサインであることも考えられます。

舐める行動が頻繁で止まらない

一時的なグルーミングや軽い舐め行動とは異なり、長時間にわたって執拗に足を舐め続けたり、他のことに全く興味を示さずに舐め続ける場合は、心理的なストレス、強迫性障害、あるいは慢性的な痛みや不快感が原因である可能性が高いです。飼い主が止めてもすぐに再開したり、夜間に眠れずに舐め続けたりするようなら、専門家の介入が必要なサインです。

これらのサインを総合的に判断し、愛犬の異常を感じたら迷わず動物病院を受診しましょう。早期発見・早期治療が、愛犬の健康と快適な生活を守る上で最も重要です。

サイン具体的な症状考えられる主な原因対応の目安
足の赤みや腫れ皮膚が赤く、熱を持っている、触ると痛がるアレルギー、皮膚炎、細菌・真菌感染早期に獣医師に相談
脱毛やただれ毛が薄くなる、皮膚が湿っぽい、かさぶたがある舐性皮膚炎、慢性的な皮膚疾患獣医師による診断が必要
出血や膿皮膚からの出血、黄色や緑色の膿、悪臭外傷、重度の感染症緊急性の高いサイン、すぐに受診
跛行や元気がない歩き方がおかしい、足をかばう、食欲不振、活動性の低下関節炎、骨折、神経系の問題、全身性の病気全身検査のため獣医師に相談
舐める行動が頻繁で止まらない長時間、執拗に舐め続ける、止めてもすぐに再開する強いストレス、不安、強迫性障害、慢性疼痛行動療法を含め獣医師に相談

※上記は一般的な目安であり、個体差や症状の進行度合いによって対応は異なります。心配な場合は、かかりつけの獣医師に相談し、適切な診断と治療を受けるようにしてください。

犬の足を舐める癖を止めさせる具体的な解決策

愛犬が足を舐める行動は、原因が多岐にわたるため、その解決策も原因に合わせて適切に選ぶことが重要です。まずは自宅でできることから始め、改善が見られない場合や症状が悪化する場合は、迷わず専門家へ相談しましょう。

自宅でできる対処法と環境改善

犬が足を舐める原因が心理的なものや軽度の身体的なものである場合、自宅でのケアや環境の見直しで改善が見られることがあります。

ストレスを軽減する環境づくり

犬のストレスは、過剰な足舐めの大きな原因の一つです。愛犬が安心して過ごせる環境を整えることで、舐める行動が軽減されることがあります。

  • 安心できる場所の提供:愛犬が落ち着ける自分だけのスペース(クレートやベッド)を用意し、いつでもそこに避難できるようにしましょう。静かで邪魔されない場所が理想です。
  • 生活ルーティンの確立:食事、散歩、遊びの時間を一定にすることで、犬は予測可能な生活に安心感を覚えます。不規則な生活は犬にストレスを与えることがあります。
  • 分離不安対策:留守番が多い犬の場合、分離不安から足を舐めることがあります。留守番前に十分な運動をさせたり、知育玩具を与えたりして、寂しさを紛らわせる工夫をしましょう。

適切な運動と遊びの提供

運動不足や退屈は、犬がエネルギーを発散できずにストレスを溜め込み、足を舐める行動につながることがあります。

  • 質の良い散歩:単に歩くだけでなく、匂いを嗅がせたり、他の犬との交流をさせたりするなど、犬が楽しめる要素を取り入れましょう。散歩の量だけでなく、質も重要です。
  • 知的な刺激の提供:知育玩具やノーズワーク(嗅覚を使った遊び)は、犬の脳を使い、精神的な満足感を与えます。これにより、退屈による舐め行動を減らせます。
  • 飼い主との交流:一緒に遊ぶ時間を持つことで、愛犬は飼い主との絆を感じ、精神的に満たされます。引っ張りっこやボール遊びなど、愛犬が喜ぶ遊びを取り入れましょう。

足の清潔を保つケア

足の汚れや刺激は、皮膚炎の原因となり、舐める行動を誘発します。日頃から足を清潔に保つことが大切です。

  • 散歩後の足拭き・洗浄:散歩から帰ったら、足を丁寧に拭くか、必要に応じてぬるま湯で洗い流しましょう。特に肉球の間や指の間は汚れが溜まりやすいので注意が必要です。
  • 定期的な爪切りと足裏の毛のカット:伸びすぎた爪や足裏の毛は、歩行の邪魔になったり、汚れが溜まりやすくなったりします。定期的にケアすることで、清潔を保ち、物理的な刺激を減らせます。
  • 刺激の少ない製品の使用:足の洗浄やケアに使うシャンプーやローションは、犬の皮膚に優しい、刺激の少ないものを選びましょう。人間用の製品は犬には刺激が強すぎる場合があります。

アレルギー対策の見直し

食物アレルギーや環境アレルギーは、皮膚のかゆみを引き起こし、足を舐める行動につながることがあります。

  • 食事内容の見直し:特定の食材がアレルゲンとなっている可能性があります。獣医さんと相談し、アレルギー対応食への切り替えや、除去食試験を検討しましょう。
  • 環境アレルゲンの除去:ハウスダスト、花粉、カビなどがアレルゲンの場合、室内の清掃を徹底したり、空気清浄機を使用したりすることで、環境中のアレルゲンを減らす努力をしましょう。
  • シャンプーやケア用品の変更:使用しているシャンプーやリンス、その他のケア用品が皮膚に合わない場合もあります。低刺激性や薬用シャンプーなど、獣医さんが推奨する製品を試してみるのも良いでしょう。

舐める行動への適切な対応

愛犬が足を舐めているのを見つけた際の飼い主の対応も、その行動を助長するかどうかを左右します。

行動の種類飼い主の適切な対応避けるべき対応
要求行動の場合舐める行動を始めたら、完全に無視します。舐めても注目が得られないことを学習させることが重要です。 舐めるのをやめた瞬間に、褒めたり、おもちゃで遊んであげたりして、望ましい行動を強化します。「やめなさい」と声をかけたり、撫でたりするなど、注目を与える行動
ストレス・退屈の場合舐める行動を別の行動に誘導します。例えば、おもちゃを投げたり、散歩に誘ったりして、注意をそらしましょう。 知育玩具や長時間楽しめるおやつを与え、エネルギーの発散先を提供します。感情的に叱る。叱ることでさらにストレスが増し、舐める行動が悪化する可能性があります。
皮膚炎や外傷の場合獣医さんの指示のもと、エリザベスカラーや犬用靴下などを一時的に使用し、物理的に舐めるのを防ぎます。 ただし、これはあくまで一時的な対処法であり、根本的な原因の治療が最優先です。原因を特定せず、自己判断で治療を遅らせること。

大切なのは、叱るのではなく、なぜ舐めているのかを理解し、適切な対処をすることです。叱る行為は犬にさらなるストレスを与え、問題行動を悪化させる可能性があります。

専門家への相談と治療

自宅での対処で改善が見られない場合や、足の赤み、腫れ、脱毛、ただれ、出血、跛行などの症状が見られる場合は、速やかに専門家へ相談することが不可欠です。

動物病院での診断と治療

足舐めの原因が身体的なものである場合、獣医による正確な診断と治療が不可欠です。

  • 精密な検査:獣医は視診、触診に加え、皮膚検査(掻爬検査、培養検査)、血液検査、レントゲン検査、エコー検査などを行い、足舐めの根本原因を特定します。アレルギー検査を行うこともあります。
  • 原因に応じた治療:診断結果に基づき、獣医は適切な治療法を提案します。例えば、皮膚炎であれば薬用シャンプーや内服薬、アレルギーであれば食事療法や抗アレルギー薬、関節炎であれば痛み止めやサプリメントなどが処方されることがあります。寄生虫が見つかれば、駆虫薬が用いられます。
  • 早期発見・早期治療の重要性:問題が小さいうちに獣医に相談することで、病気の進行を防ぎ、愛犬の苦痛を最小限に抑えることができます。自己判断で様子を見すぎないようにしましょう。

ドッグトレーナーや行動療法士の活用

足舐めの原因が心理的な問題(分離不安、ストレス、退屈、要求行動など)である場合、行動の専門家が力になってくれます。

  • 行動分析と修正:ドッグトレーナーや動物行動療法士は、犬の行動パターンや飼い主との関係性を分析し、足舐め行動の心理的な原因を特定します。そして、その原因に基づいた具体的な行動修正プログラムを提案してくれます。
  • 飼い主への指導:専門家は、犬だけでなく飼い主に対しても、適切なコミュニケーション方法やトレーニング方法を指導します。これにより、犬との信頼関係を深め、問題行動の再発を防ぐことができます。
  • 複合的なアプローチ:身体的な問題と心理的な問題が複雑に絡み合っている場合もあります。その際は、獣医とドッグトレーナーや行動療法士が連携し、多角的なアプローチで解決を目指すことが理想的です。

犬が足を舐める行動を未然に防ぐために

愛犬が足を舐める行動を未然に防ぐことは、その健康と快適な生活を守る上で非常に重要です。舐める行動は、一度習慣化すると止めにくくなる傾向があるため、日頃からの予防的なアプローチが鍵となります。

日常的なケアと観察の重要性

愛犬の足の健康状態を常に把握し、異変に早期に気づくことが予防の第一歩です。日々の生活の中で、意識的に足の状態をチェックする習慣をつけましょう。

定期的な足のチェック

愛犬の足を定期的にチェックすることは、皮膚炎、外傷、寄生虫などの問題が深刻化する前に発見し、対処するために不可欠です。特に散歩後やブラッシングの際に、以下のポイントを確認しましょう。

チェック部位確認すべき点注意すべきサイン
指の間赤み、腫れ、湿り気、異物(草の種、小さな石など)舐め跡、炎症、膿
肉球ひび割れ、乾燥、傷、異物、熱感歩行時の痛み、出血
伸びすぎ、欠け、爪周りの炎症歩き方の変化、痛み
皮膚全体発疹、フケ、脱毛、臭い、べたつき皮膚の変色、強い痒み

これらのチェックを愛犬がリラックスしている時に行い、ポジティブな経験として慣れさせることが大切です。ご褒美を与えながら、足に触られることに抵抗を感じさせないようにしましょう。

バランスの取れた食事

皮膚や被毛の健康は、体の内側からの栄養状態に大きく左右されます。バランスの取れた食事は、皮膚のバリア機能を強化し、アレルギーや炎症のリスクを低減する上で極めて重要です。

特に、皮膚の健康維持に役立つ栄養素として、以下のものが挙げられます。

  • 良質なタンパク質:皮膚や被毛の主成分であり、細胞の再生に不可欠です。
  • 必須脂肪酸(オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸):皮膚の保湿力を高め、炎症を抑える効果が期待できます。サーモンオイルや亜麻仁油などが含まれるフードを選ぶと良いでしょう。
  • ビタミン類(特にビタミンA、E、B群):皮膚の健康維持、細胞の保護、代謝の促進に寄与します。
  • ミネラル類(亜鉛など):皮膚の再生や免疫機能に関わります。

食物アレルギーが疑われる場合は、獣医師と相談し、アレルゲンとなる可能性のある食材を特定し、除去食や低アレルギーフードを検討することが予防につながります。食事の変更は、必ず獣医師の指導のもとで行いましょう。

質の良いコミュニケーション

犬が足を舐める行動には、ストレスや不安、退屈といった心理的な要因が大きく関わることがあります。これらの心理的な要因を未然に防ぐためには、飼い主との質の良いコミュニケーションを通じて、愛犬の精神的な安定を促すことが不可欠です。

  • 適切な運動と遊び:犬種や年齢に応じた十分な運動は、エネルギーの発散だけでなく、精神的な満足感をもたらします。知育玩具を使った遊びや、新しい芸を教えることで、愛犬の知的好奇心を満たし、退屈による舐め行動を予防できます。
  • 安心できる環境づくり:愛犬が安心して過ごせる静かで落ち着いた場所を提供しましょう。家族の生活音や外部の騒音など、ストレスの原因となる要素をできる限り排除することも大切です。
  • ポジティブな触れ合い:撫でる、優しく声をかける、アイコンタクトを取るなど、日々の触れ合いを通じて愛犬との信頼関係を深めましょう。これにより、愛犬は安心感を得て、ストレスを軽減することができます。
  • 適切な留守番トレーニング:分離不安による舐め行動を防ぐため、子犬のうちから少しずつ留守番に慣れさせるトレーニングを行いましょう。留守番中に安心できるおもちゃを与えたり、出かける前にリラックスできる環境を整えたりすることも有効です。

愛犬が舐める行動を始めた場合でも、頭ごなしに叱るのではなく、なぜ舐めているのかを理解しようと努め、その原因を取り除くためのコミュニケーションを心がけることが、予防と改善に繋がります。

まとめ

愛犬が足を舐める行動は、単なる癖からストレス、病気、怪我まで、多岐にわたる原因が考えられます。正常な場合もありますが、足の赤みや腫れ、脱毛などを伴う過度な舐め行動は、何らかの問題を示すサインです。愛犬の行動をよく観察し、原因特定が重要です。自宅でのケアや環境改善で解決しない場合や、原因不明の際は、迷わず動物病院を受診しましょう。早期発見・早期治療が、愛犬の健康と快適な生活を守る鍵となります。痛みが取れない、違和感があるなどお困りごとがありましたら当院へご相談ください。

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