愛犬の涙やけは、適切な対策で劇的に改善できることをご存知でしょうか。この記事では、涙やけの主な原因を生理的なものから食事、環境、病気の可能性まで徹底解説します。結論として、涙やけは原因を正しく理解し、高品質な食事と日々の丁寧なケアを実践することで、大きく改善へと導けます。具体的なフード選び、自宅での正しいケア、予防策、専門家への相談サインまで、愛犬の快適な生活と美しい目元を取り戻すための全知識を網羅しました。
1. 犬の涙やけとは?その原因とメカニズムを徹底解説
愛犬の目の下が赤茶色に変色し、独特の臭いが気になる「涙やけ」。多くの飼い主様が悩むこの症状は、見た目の問題だけでなく、愛犬の健康状態を示すサインであることも少なくありません。この章では、涙やけがなぜ起こるのか、その複雑な原因とメカニズムについて詳しく解説いたします。
1.1 涙やけが起こる主な原因を知ろう
涙やけは、涙が目の外にあふれ出し、目の周りの毛に付着して変色することで起こります。その原因は一つではなく、複数の要因が絡み合っていることがほとんどです。ここでは、涙やけを引き起こす具体的な原因について、深く掘り下げていきましょう。
1.1.1 生理的な原因と犬種による特徴
犬の涙やけには、生まれつきの体質や犬種特有の構造が大きく関わっています。
涙は通常、目の表面を潤し、異物を洗い流す役割を果たした後、目頭にある「涙点」から「鼻涙管」を通って鼻腔へと排出されます。しかし、この涙の排出経路に問題があると、涙が目の外にあふれ出してしまいます。
鼻涙管が生まれつき狭い、あるいは詰まっている場合や、涙の量が過剰に分泌される体質の場合、涙やけが起こりやすくなります。
特に、以下のような犬種は涙やけになりやすい傾向があります。
- 短頭種(パグ、フレンチブルドッグ、シーズーなど)
顔の構造上、目が大きく飛び出ていたり、鼻が低かったりするため、涙が目の外にあふれやすく、涙点や鼻涙管が圧迫されて詰まりやすいことがあります。 - 小型犬(トイプードル、チワワ、マルチーズなど)
小型犬は涙点が小さく、鼻涙管も細いため、詰まりやすい傾向が見られます。また、目の周りの毛が長く、涙が付着しやすいことも一因です。 - 目の周りの毛が長い犬種(シーズー、マルチーズ、ヨークシャーテリアなど)
目の周りの毛が目に刺激を与えたり、涙を吸い上げて湿った状態を保ちやすいため、細菌や酵母菌が繁殖しやすくなります。
また、逆さまつげや眼瞼内反症(まぶたが内側にめくれる状態)など、目の構造的な問題が涙の分泌を刺激し、涙やけの原因となることもあります。
1.1.2 食事が引き起こす涙やけのメカニズム
「食べるものが体を作る」という言葉があるように、愛犬の食事内容は涙やけに深く関係しています。特に、以下の点が涙やけの原因となることがあります。
- アレルギー反応
特定の食材(穀物、鶏肉、牛肉、乳製品など)に対するアレルギー反応が、涙の過剰分泌や体内の炎症を引き起こし、涙やけを悪化させることがあります。アレルギー反応により、目の周りのかゆみや炎症が起こり、涙の量が増えることも考えられます。 - 消化不良と腸内環境の悪化
消化しにくい食材や、品質の低い原材料が使われたドッグフードは、愛犬の胃腸に負担をかけ、消化不良を引き起こします。腸内環境が悪化すると、体内に老廃物が蓄積しやすくなり、その一部が涙腺から排出されることで涙の質が変化し、涙やけを引き起こしやすくなると言われています。 - ポルフィリン色素の排出
涙やけの赤茶色の原因の一つに、「ポルフィリン」という色素があります。ポルフィリンは、犬の体内でヘモグロビンが分解される過程で生じる老廃物の一種で、通常は便や尿として排出されます。しかし、何らかの原因で体内に過剰に蓄積されると、涙腺からも排出され、空気中の酸素と反応することで赤茶色に変色すると考えられています。鉄分を多く含む食材の過剰摂取や、特定の栄養素の不足がポルフィリンの蓄積に関与している可能性も指摘されています。 - 添加物や人工保存料
ドッグフードに含まれる人工的な添加物や保存料が、愛犬の体に負担をかけ、涙の質や量に影響を与える可能性も否定できません。
1.1.3 環境やストレスが涙やけに与える影響
愛犬を取り巻く環境や、精神的なストレスも涙やけに影響を与えることがあります。
- 環境アレルゲン
ハウスダスト、花粉、カビ、タバコの煙、芳香剤などが目の刺激となり、涙の分泌を増やしたり、アレルギー反応を引き起こしたりすることがあります。特に換気の悪い室内や、清潔に保たれていない環境は注意が必要です。 - 乾燥や風
空気が乾燥している環境や、強い風に長時間さらされると、目の表面が乾燥し、それを補うために涙が過剰に分泌されることがあります。また、目に異物が入りやすくなることも涙やけの原因となります。 - ストレス
引越し、家族構成の変化、お留守番の増加、運動不足、大きな音など、愛犬にとってストレスとなる出来事は、自律神経やホルモンバランスを乱し、免疫力の低下を招くことがあります。免疫力が低下すると、目の周りの皮膚が炎症を起こしやすくなったり、細菌や酵母菌が繁殖しやすくなったりして、涙やけが悪化することが考えられます。 - 不衛生な環境
目の周りが常に汚れていたり、清潔に保たれていなかったりすると、涙が付着した部分に細菌や酵母菌が繁殖しやすくなり、炎症や臭いの原因となります。
1.1.4 病気が隠れている可能性とサイン
涙やけは単なる見た目の問題ではなく、目の病気や全身の病気のサインである可能性もあります。以下のような症状が見られる場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
| 症状 | 考えられる病気 |
|---|---|
| 目の充血、痛み、かゆみ | 結膜炎、角膜炎、アレルギー性結膜炎 |
| 目やにの増加(黄色や緑色) | 細菌感染、結膜炎、角膜炎 |
| 目の周りの腫れ、まぶたの痙攣 | 眼瞼炎、結膜炎、アレルギー反応 |
| 涙の量が急激に増える | 鼻涙管閉塞、緑内障、ぶどう膜炎、目の異物 |
| 目をこする、まばたきが多い | 目の痛み、かゆみ、異物感、ドライアイ |
| 目の奥が白っぽく濁る | 白内障、角膜浮腫 |
| 目の大きさが左右で違う | 緑内障、眼窩内腫瘍 |
| 食欲不振、元気がない | 全身性の病気、重度の炎症 |
これらの症状が見られる場合、放置すると視力に影響が出たり、病状が悪化したりする可能性があります。早期発見、早期治療が非常に重要です。
1.2 涙やけの見た目と臭いの特徴
涙やけは、その見た目と独特の臭いで気づくことが多い症状です。これらの特徴を理解することで、愛犬の涙やけの状態をより正確に把握することができます。
- 見た目の特徴
最も顕著なのは、目の下の毛が赤茶色や茶色、ひどい場合は黒っぽく変色していることです。これは、涙に含まれるポルフィリン色素が空気と触れて酸化することや、涙で常に湿った状態の皮膚や毛に細菌や酵母菌が繁殖し、色素を生成することによって起こります。また、変色した部分の毛が常に湿っており、触るとベタつくこともあります。炎症がひどい場合は、皮膚が赤くただれていたり、脱毛が見られたりすることもあります。 - 臭いの特徴
涙やけのもう一つの特徴は、独特の臭いです。これは、涙で湿った環境で細菌や酵母菌(マラセチアなど)が繁殖し、代謝物として揮発性の物質を生成するためです。臭いは個体差がありますが、一般的にはツンとした刺激臭、カビ臭い臭い、あるいは酸っぱいような臭いがすると言われています。この臭いは、涙やけが進行しているサインであり、皮膚炎が起こっている可能性も示唆しています。
これらの見た目や臭いの特徴に気づいたら、愛犬の健康状態を詳しく確認し、適切なケアを始めることが大切です。
2. 食事から「犬 涙やけ」を改善するアプローチ
犬の涙やけは、体質や環境だけでなく、毎日の食事内容が大きく影響している場合があります。消化に負担がかかる食事やアレルギーを引き起こしやすい食材は、体内で炎症反応を起こし、涙の量や質に変化をもたらすことがあるからです。ここでは、食事の質を見直すことで、涙やけの根本的な改善を目指す具体的なアプローチをご紹介します。
2.1 涙やけ対策に効果的なドッグフード選びのポイント
ドッグフードは犬の主食であり、健康の基盤となるものです。涙やけ対策においては、フードの成分を注意深く選び、愛犬の体に合ったものを見つけることが非常に重要です。
2.1.1 グレインフリーや無添加フードの重要性
ドッグフードに含まれる穀物(グレイン)は、犬によっては消化が苦手な場合があり、アレルギーの原因となることも少なくありません。消化不良は腸内環境の悪化を招き、結果として涙の量が増えたり、涙の質が変わったりして涙やけを引き起こすことがあります。そのため、消化に優しく、アレルギーのリスクを低減するグレインフリー(穀物不使用)のドッグフードを検討することは、涙やけ対策の第一歩となります。
また、人工的な着色料、香料、保存料などの添加物は、犬の体に負担をかける可能性があります。これらの添加物が体内でアレルギー反応や炎症を引き起こし、涙やけを悪化させることも考えられます。できる限り、人工添加物が含まれていない無添加のドッグフードを選ぶことで、体への負担を減らし、涙やけの改善に繋がることが期待できます。
2.1.2 高品質なタンパク質源の選択とアレルギー対策
タンパク質は犬の体を作る上で不可欠な栄養素ですが、その「質」が非常に重要です。消化吸収の良い高品質な動物性タンパク質(例:鶏肉、魚、ラム肉など)を主原料としたフードを選ぶことで、体への負担を軽減し、効率的に栄養を摂取することができます。
一方で、特定のタンパク質がアレルギーの原因となることもあります。特に、牛肉や鶏肉、乳製品などは一般的なアレルゲンとして知られています。もし愛犬が特定の食材にアレルギー反応を示すようであれば、アレルゲンとなりやすいタンパク質を避けた、単一のタンパク質源(例:鹿肉、鴨肉、サーモンなど)を使用したフードを試すことが有効です。また、タンパク質を細かく分解してアレルゲン性を低減させた加水分解タンパク質フードも、アレルギー対策として選択肢の一つになります。
2.1.3 腸内環境を整える成分(乳酸菌、酵素など)の活用
犬の腸内環境は、免疫機能や皮膚、被毛の健康と密接に関わっています。腸内環境が乱れると、体全体の免疫力が低下し、アレルギー反応が起きやすくなったり、老廃物の排出が滞ったりして、涙やけが悪化する原因となることがあります。
ドッグフードを選ぶ際には、腸内環境をサポートする成分が含まれているかも確認しましょう。例えば、以下のような成分が有効です。
- 乳酸菌(プロバイオティクス): 腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑えることで、腸内フローラのバランスを整えます。
- オリゴ糖(プレバイオティクス): 善玉菌の栄養源となり、その働きを活性化させます。
- 食物繊維: 腸の働きを助け、便通を整えることで、体内の老廃物排出を促進します。
- 消化酵素: 食材の消化吸収を助け、胃腸への負担を軽減します。
これらの成分がバランス良く含まれているフードを選ぶことで、腸内環境が改善され、体質そのものが涙やけしにくい状態へと変化していくことが期待できます。
2.2 与えてはいけない食べ物と注意点
涙やけの改善を目指す上で、ドッグフード選びと同様に重要なのが、愛犬に与えてはいけない食べ物や、与え方に注意が必要なものです。人間が食べるものの中には、犬にとって有害な成分が含まれていたり、消化に大きな負担をかけたりするものがあります。
特に、以下のような食品は涙やけを悪化させる原因となる可能性があるため、与えないようにしましょう。
| 種類 | 具体的な食品例 | 涙やけへの影響・注意点 |
|---|---|---|
| 人間用の加工食品 | 味付けされた肉、ハム、ソーセージ、チーズ、パン、お菓子など | 高塩分、高糖分、人工添加物が多く含まれ、消化器系に負担をかけ、アレルギーや炎症を引き起こす可能性があります。 |
| 高脂肪食 | 揚げ物、脂身の多い肉、バターなど | 消化に時間がかかり、胃腸に大きな負担をかけます。膵炎のリスクを高めるだけでなく、体内の炎症を悪化させる可能性があります。 |
| アレルギー誘発の可能性のある食品 | 牛乳、卵、小麦、特定の肉類(牛肉、鶏肉など) | 愛犬によっては、これらの食品がアレルギー反応を引き起こし、涙の量や質に影響を与えることがあります。個体差が大きいため注意が必要です。 |
| 特定の野菜・果物 | 玉ねぎ、ネギ類、ぶどう、アボカドなど | 犬にとって中毒性があり、命に関わる危険性があるため、絶対に与えてはいけません。 |
また、ドッグフード以外のおやつを与える際も、成分表示をよく確認し、無添加で低アレルゲン、消化に良いものを選ぶように心がけましょう。過剰な量のおやつは、主食であるドッグフードからの栄養バランスを崩す原因にもなりますので、与えすぎには注意が必要です。
2.3 水分摂取の重要性と効果的な工夫
十分な水分摂取は、犬の健康維持に不可欠であり、涙やけの改善においても非常に重要な役割を果たします。体内の水分が不足すると、涙の質が低下し、濃縮された涙が涙やけを悪化させる原因となることがあります。また、体内の老廃物の排出が滞り、デトックス機能が低下することも、涙やけに繋がる可能性があります。
愛犬が積極的に水を飲んでくれるよう、以下のような工夫を試してみましょう。
- 新鮮な水を常に用意する: 水は毎日交換し、清潔な容器で与えましょう。
- 複数の水飲み場を設ける: リビング、寝室、庭など、愛犬がよく過ごす場所に複数個所水飲み場を設置すると、水を飲む機会が増えます。
- ウェットフードを活用する: ドライフードに比べて水分を多く含むウェットフードを食事に取り入れることで、自然に水分摂取量を増やすことができます。
- 水に風味をつける: 無添加の鶏だしや野菜だしを少量混ぜることで、水の風味が増し、飲水を促すことがあります。ただし、塩分や添加物のないものを選びましょう。
- 自動給水器の利用: 流れる水に興味を持つ犬もいるため、自動給水器を試してみるのも良い方法です。
十分な水分補給は、涙の質を改善し、体内の老廃物排出を促すことで、涙やけの予防と改善に繋がります。愛犬が一日を通して適切な量の水を飲めているか、日頃から意識して観察することが大切です。
3. 自宅でできる「犬 涙やけ」の正しいケア方法
涙やけの改善には、日々の丁寧なケアが欠かせません。自宅でできる正しいケア方法を実践することで、愛犬の目の周りを清潔に保ち、快適な状態を維持できます。外側からのケアと、内側からの体質改善をサポートするサプリメントの活用について詳しく見ていきましょう。
3.1 毎日の拭き取りケアとおすすめアイテム
涙やけは、涙が目の周りの毛に付着し、そこに雑菌が繁殖することで色素沈着や炎症を引き起こします。そのため、毎日丁寧に拭き取ることが最も基本的なケアとなります。正しい方法と適切なアイテムを選ぶことが大切です。
3.1.1 涙やけクリーナーやローションの効果的な使い方
涙やけクリーナーやローションは、単なる水拭きよりも効果的に汚れを落とし、目の周りを清潔に保つために役立ちます。使用する際は、以下の点に注意してください。
- 使用頻度: 涙やけの状態にもよりますが、朝晩の1日2回を目安に拭き取りましょう。ひどい場合は、さらに回数を増やしても良いでしょう。
- 拭き取り方: 清潔なコットンやガーゼにクリーナーやローションを適量染み込ませます。目に入らないように注意しながら、涙で濡れた部分や色素沈着している部分を優しく拭き取ります。ゴシゴシ擦ると皮膚を傷つけたり、刺激を与えたりする可能性があるため、軽い力で丁寧に拭いてください。目頭から目尻に向かって、涙の流れる方向に沿って拭くのが効果的です。
- 乾燥: 拭き取り後は、目の周りをしっかりと乾燥させることが重要です。湿った状態が続くと、再び雑菌が繁殖しやすくなります。清潔な乾いたコットンやティッシュで軽く押さえるようにして水分を取り除きましょう。
- 成分の確認: 使用する製品は、愛犬の皮膚に刺激の少ない成分でできているか確認しましょう。香料や着色料が無添加のものを選ぶと安心です。
3.1.2 清潔なコットンやウェットシートの選び方
拭き取りケアに使用するアイテムも、愛犬のデリケートな目の周りに使うため、慎重に選びましょう。
| アイテム | 選び方のポイント | 使用上の注意点 |
|---|---|---|
| コットン | 毛羽立ちにくい、柔らかい素材のものを選びましょう。 漂白剤や蛍光増白剤不使用の、天然素材のものが理想的です。 使い捨てできる清潔なものを常に用意しましょう。 | 一度使ったコットンは再利用せず、必ず捨ててください。 強く擦りすぎると、皮膚を傷つける可能性があります。 |
| ウェットシート | 犬の目の周り専用に作られた、刺激の少ない成分のものが良いでしょう。 アルコールや香料、パラベンなどが無添加の製品を選びましょう。 シートの厚みがあり、破れにくいものが使いやすいです。 | 開封後は乾燥しないようにしっかりと蓋を閉めましょう。 目の粘膜に直接触れないように注意してください。 |
| ガーゼ | 医療用ガーゼなど、清潔で柔らかいものを選びましょう。 目が細かいものが、繊維が残りにくく安全です。 | コットンのように毛羽立ちにくいですが、繊維が残らないか確認しましょう。 必ず清潔なものを使用し、使い捨ててください。 |
どのアイテムを使う場合も、必ず清潔なものを使用し、一度使ったら捨てるようにしてください。使い回しは雑菌の繁殖につながり、かえって涙やけを悪化させる原因になります。
3.2 定期的なトリミングと目の周りのカットの重要性
長すぎる目の周りの毛は、涙やけの原因となることがあります。毛が目に入り、涙腺を刺激して涙の量を増やしたり、涙が毛に付着して滞留しやすくなったりするためです。
- 毛が目に入ることによる刺激の軽減: 目の周りの毛が長いと、毛先が常に目に入り、物理的な刺激となって涙の分泌を促すことがあります。また、異物として目に炎症を引き起こす可能性もあります。定期的に目の周りの毛を短くカットすることで、これらの刺激を減らすことができます。
- 涙の滞留を防ぎ通気性を確保: 目の周りの毛が密集していると、涙が毛に絡みつき、皮膚に滞留しやすくなります。これにより、湿った状態が長く続き、雑菌が繁殖しやすい環境を作ってしまいます。また、通気性が悪くなることも皮膚トラブルの原因となります。カットによって風通しを良くし、涙が乾燥しやすい状態を保つことが大切です。
- トリミングの頻度と注意点: トリミングサロンでプロに依頼するのが最も安全で確実な方法です。特に目の周りはデリケートな部分なので、無理に自宅でカットしようとすると、ハサミで目を傷つけてしまう危険性があります。月に一度程度のトリミングで、目の周りの毛を適切にカットしてもらいましょう。 もし自宅でカットする場合は、犬用の先端が丸いハサミを使用し、愛犬が落ち着いている時に、二人体制で安全を確保しながら行うようにしてください。不安な場合は、無理せずプロに任せることを強くおすすめします。
3.3 涙やけ対策サプリメントの活用と選び方
外側からのケアと並行して、内側からのアプローチとしてサプリメントを活用することも涙やけの改善に役立つ場合があります。特に、食事の見直しだけでは改善が見られない場合や、体質改善を目指したい場合に検討してみましょう。
- 腸内環境を整える成分: 涙やけの原因の一つに、腸内環境の乱れが挙げられることがあります。腸内環境が整うことで、体全体の免疫機能が向上し、アレルギー反応や炎症が抑えられる可能性があります。乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクス、食物繊維などのプレバイオティクスを配合したサプリメントがおすすめです。
- 抗酸化成分: 体内の酸化ストレスは、様々な健康問題や炎症の原因となります。涙やけも炎症反応の一つと捉えることができるため、抗酸化作用のある成分を摂取することで、体質改善をサポートする効果が期待できます。ビタミンC、ビタミンE、アスタキサンチン、ポリフェノールなどが代表的な抗酸化成分です。
- 皮膚・被毛の健康をサポートする成分: 皮膚や被毛の健康は、涙やけと密接に関わっています。オメガ-3脂肪酸(DHA・EPA)は、抗炎症作用があり、皮膚のバリア機能を強化することで、涙やけによる皮膚の炎症を和らげる効果が期待できます。また、亜鉛などのミネラルも皮膚の健康維持に重要です。
- サプリメントの選び方と注意点: サプリメントを選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。
- 成分表示をしっかり確認し、愛犬に必要な成分が含まれているか、不要な添加物が含まれていないかを確認してください。
- 犬の年齢や体重、健康状態に合った製品を選びましょう。
- すぐに効果が現れるものではないため、継続して与えることが重要です。
- 複数のサプリメントを併用する場合は、成分の過剰摂取にならないよう注意が必要です。
4. 涙やけの予防と再発防止のために
一度改善した涙やけも、日々のケアや環境によっては再発してしまうことがあります。また、まだ涙やけが出ていない場合でも、適切な予防策を講じることで、愛犬の健康な目を守ることができます。ここでは、涙やけを未然に防ぎ、健やかな状態を維持するための具体的な方法をご紹介します。
4.1 日常生活で気をつけたいこと
涙やけの予防と再発防止には、日々の生活習慣の見直しと継続的な取り組みが不可欠です。特に、食事、環境、ストレス管理の三つの柱が重要となります。
4.1.1 食事管理の徹底と継続
涙やけの改善に効果的だった食事は、予防のためにも継続することが大切です。アレルゲンとなる可能性のある食材を避け、高品質なタンパク質源と消化の良い成分を含んだドッグフードを選び続けましょう。腸内環境を良好に保つ乳酸菌や酵素などの成分も、免疫力の維持に役立ちます。また、おやつを与える際も、原材料をよく確認し、添加物の少ないものを選ぶように心がけてください。人間の食べ物は、犬の消化器官に負担をかけ、涙やけの原因となることがあるため、基本的に与えないようにしましょう。
4.1.2 清潔な環境の維持
目の周りの清潔を保つことは、涙やけの予防に直結します。毎日、目の周りを優しく拭き取り、涙の成分が毛に付着して酸化するのを防ぎましょう。顔周りの毛が目に触れないように、定期的なトリミングも欠かせません。自宅の環境も清潔に保つことが大切です。愛犬が過ごすハウスや寝床は、こまめに洗濯し、ほこりやアレルゲンが溜まらないようにしましょう。室内の湿度や温度も適切に管理し、乾燥や過度な湿気が目の刺激とならないように配慮してください。
4.1.3 ストレスの軽減
犬も人間と同様にストレスを感じると、体のバランスを崩しやすくなります。ストレスは免疫力の低下を招き、涙やけが悪化する要因となることもあります。愛犬が安心して過ごせる環境を整え、十分な運動と休息を与えましょう。急な環境の変化や大きな音、見慣れない人との接触など、愛犬が苦手とする状況を把握し、できる限り避ける工夫も大切です。飼い主さんとのスキンシップや遊びの時間を十分に取ることも、ストレス軽減に役立ちます。
4.1.4 水分摂取の重要性と効果的な工夫
十分な水分摂取は、体の新陳代謝を促進し、涙の質を良好に保つ上で非常に重要です。常に新鮮で清潔な水を、愛犬がいつでも飲めるように用意しましょう。水飲み容器は、細菌の繁殖を防ぐために毎日洗浄し、きれいな状態を保つことが大切です。ステンレス製や陶器製の容器は、プラスチック製に比べて傷がつきにくく、衛生的に保ちやすい傾向があります。もし愛犬があまり水を飲まない場合は、ウェットフードを取り入れたり、少量の出汁で水を風味付けしたりするなどの工夫も効果的です。
4.2 定期的な健康チェックのすすめ
涙やけの予防と再発防止のためには、日々の観察と定期的な専門家によるチェックが欠かせません。早期発見と早期対応が、愛犬の健康を守る鍵となります。
4.2.1 飼い主による日々の観察ポイント
毎日愛犬の顔をよく見て、目の状態をチェックする習慣をつけましょう。以下の点に注意して観察してください。
| 観察項目 | 確認すべき点 |
|---|---|
| 目の周りの毛 | 涙の色(透明か、赤茶色か)、涙の量(増減)、毛の汚れ具合、毛の生え方 |
| 目の粘膜 | 充血の有無、腫れの有無、目やにの量や色(透明か、黄色っぽいか) |
| 目の周りの皮膚 | 赤み、かゆみ(頻繁にこすったり、掻いたりしていないか)、湿疹の有無 |
| 臭い | 目の周りから酸っぱい臭いや異臭がしないか |
| 行動 | 目をしょぼしょぼさせていないか、光を嫌がっていないか、元気や食欲に変化はないか |
これらの変化に気づいた場合は、放置せずに適切な対応を検討しましょう。
4.2.2 動物病院での定期検診の活用
涙やけが改善したとしても、定期的に動物病院で健康チェックを受けることをおすすめします。隠れた病気が涙やけの原因となっている可能性もありますし、獣医師は飼い主さんでは気づきにくい目の異常や涙管の詰まりなどを早期に発見できることがあります。特に、予防接種や健康診断の機会を利用して、目の状態も詳しく診てもらうと良いでしょう。専門家からのアドバイスは、愛犬の健康維持に非常に役立ちます。
5. 獣医さんに相談すべき「犬 涙やけ」のサイン
愛犬の涙やけは、日常的なケアや食事の見直しで改善することが多いですが、中には病気が原因で起こっているケースもあります。単なる見た目の問題として軽視せず、次のような症状が見られた場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
5.1 こんな症状が出たらすぐに病院へ
以下のサインが見られたら、涙やけだけでなく、目の病気や全身の不調が隠れている可能性を考え、専門家による診察を受けることが重要です。
| 症状の種類 | 具体的なサイン | 考えられる可能性(一例) |
|---|---|---|
| 目の見た目の変化 | 目の充血や腫れ、目ヤニの量の異常な増加 | 結膜炎、角膜炎、アレルギー、感染症など |
| 目ヤニの色が黄色や緑色に変化 | 細菌感染など、炎症の悪化 | |
| 目の周りの皮膚がただれている、脱毛している、湿疹がある | 皮膚炎、二次感染、真菌感染など | |
| 愛犬の行動の変化 | 目を頻繁にこする、まばたきが多い、光を嫌がる | 目の痛み、異物感、角膜の傷など |
| 顔を触られるのを嫌がる、食欲不振、元気がない | 目の痛みや不快感、全身の不調、発熱など | |
| 涙の質の変化 | 涙の量が異常に多い、または少ない | 涙液分泌異常、鼻涙管閉塞など |
| 涙が粘っこい、またはサラサラすぎる | 涙の成分異常、炎症など | |
| その他 | 急に涙やけが悪化した、または片目だけに症状がある | 急性の炎症、外傷、片側性の鼻涙管閉塞など |
特に子犬の場合、先天的な鼻涙管の異常や眼瞼内反症などが原因で涙やけが起こることがあります。早期に発見し適切な処置を行うことで、将来的な目のトラブルを予防できる可能性が高まります。
5.2 涙やけ治療で受けられる検査と処置
専門家を訪れた際、愛犬の涙やけの原因を特定し、適切な治療方針を立てるために、様々な検査が行われます。以下に一般的な検査と、それに基づいて行われる可能性のある処置や治療の一例をご紹介します。
5.2.1 涙やけの原因を特定するための検査
愛犬の目の状態や全身の健康状態を総合的に評価し、涙やけの根本原因を探ります。
| 検査の種類 | 目的と内容 |
|---|---|
| 視診・触診 | 目の周りの皮膚、眼瞼、まつ毛の状態、鼻涙管の開口部などを肉眼で確認し、触って異常がないかを調べます。 |
| 涙液量検査(シルマー涙液試験) | 涙の分泌量が正常であるかを測定します。ドライアイ(乾性角結膜炎)の診断に役立ちます。 |
| フルオレセイン染色検査 | 特殊な染色液を点眼し、角膜に傷や潰瘍がないかを確認します。 |
| 眼圧検査 | 目の内部の圧力を測定し、緑内障などの病気の有無を調べます。 |
| 鼻涙管通水検査 | 鼻涙管に生理食塩水などを流し、管が詰まっていないかを確認します。 |
| 結膜・角膜の細胞診・培養検査 | 目の表面から細胞や分泌物を採取し、細菌や真菌感染、アレルギー細胞の有無などを調べます。 |
| 血液検査 | 全身の健康状態を把握し、アレルギーの有無や内臓疾患が涙やけに関与していないかを調べます。 |
| 画像診断(レントゲン・超音波検査) | 目の奥や頭部の異常、歯根膿瘍など、他の原因を探るために行われることがあります。 |
5.2.2 診断後の処置と治療法
検査の結果に基づいて、愛犬の涙やけの根本原因に応じた治療計画が立てられます。治療法は多岐にわたりますが、一般的なものを以下に示します。
- 点眼薬による治療:炎症を抑える抗炎症剤、細菌感染を治療する抗生剤、目の乾燥を防ぐ人工涙液などが処方されます。
- 内服薬による治療:全身的なアレルギー反応や感染症が原因の場合、抗アレルギー薬や抗生剤などが処方されることがあります。
- 鼻涙管の洗浄や開口術:鼻涙管が詰まっている場合、洗浄によって開通を試みたり、先天的に開口部がない場合は手術で開ける処置が行われたりします。
- 眼瞼内反症や睫毛異常の手術:まぶたが内側に入り込んでいる、またはまつ毛が目に当たっている場合、手術によって修正することで目の刺激を取り除きます。
- 食事や環境の見直し:アレルギーや消化器系の問題が原因の場合、適切な食事への切り替えや、生活環境の改善について具体的なアドバイスが提供されます。
これらの治療は、愛犬の状態や病気の進行度合いによって異なります。早期に適切な診断と治療を受けることで、愛犬の目の健康を守り、快適な生活を送れるようにサポートできます。
6. まとめ
愛犬の涙やけは、食生活、日々のケア、そして環境など、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生します。この問題に真摯に向き合うことで、愛犬はより快適で健康的な毎日を送ることができるでしょう。グレインフリーや無添加のドッグフード選び、腸内環境を整える工夫、毎日の丁寧な拭き取りケア、そして定期的な目の周りのトリミングが、涙やけ改善への大切なステップとなります。もし症状が改善しない場合や、愛犬に異変を感じた場合は、迷わず専門家へ相談することが重要です。この記事で得た知識を活かし、愛犬の健やかな笑顔を守るために役立ててください。愛犬家にとってタメになる情報を発信しています。是非他の記事もチェックしてみてください。




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