愛犬の耳掃除は、単に汚れを取り除くだけでなく、外耳炎や耳ダニといったつらい耳のトラブルから大切な家族を守るために欠かせないケアです。しかし、「うちの子は耳を触られるのを嫌がる」「正しいやり方が分からない」と悩む飼い主さんは少なくありません。この記事では、愛犬が耳掃除を嫌がらず、むしろ喜んでくれるようになるための優しいアプローチと、自宅で安全に行える正しい手順を詳しくご紹介します。愛犬の耳の構造からトラブルの原因、そして日常的な予防法まで、耳の健康を守るために知っておくべき知識がすべて手に入ります。この記事を読み終える頃には、愛犬の耳の健康状態を正しく把握し、もしもの時にどうすれば良いか判断できるようになり、自信を持って耳ケアができるようになります。
1. 愛犬の耳掃除はなぜ大切 耳のトラブルを防ぐ第一歩
愛犬の健康を守る上で、耳のケアは非常に重要な役割を担っています。人間と異なり、犬の耳は独特の構造をしており、汚れが溜まりやすく、トラブルを起こしやすい部位だからです。定期的な耳掃除は、愛犬が快適に過ごすために欠かせない習慣といえるでしょう。
1.1 犬の耳の構造と汚れやすい理由
犬の耳は、人間の耳とは大きく異なる特徴を持っています。特にそのL字型の構造は、耳のトラブルを引き起こしやすい大きな要因となります。
- L字型の耳道: 垂直に伸びる耳道と、その後水平に曲がる耳道から構成されています。この構造により、耳の奥深くは通気性が悪く、湿気がこもりやすい環境です。
- 豊富な耳垢腺: 犬の耳道には耳垢を分泌する腺が多く存在します。これは外部からの刺激から耳を守る役割がありますが、過剰に分泌されたり、適切に排出されないと汚れとして蓄積されます。
- 毛の多さ: 犬種によっては耳道の内側に多くの毛が生えていることがあります。この毛が通気性をさらに悪化させ、汚れを絡め取りやすくなります。
- 垂れ耳の犬種: ミニチュアダックスフンドやコッカースパニエルなど、垂れ耳の犬種は耳が蓋のようになり、耳道内の湿度が非常に高まりやすい傾向があります。
これらの要因が複合的に作用することで、犬の耳は細菌や真菌が繁殖しやすい環境となり、耳垢が溜まりやすくなります。そのため、飼い主さんによる日頃からの注意と適切なケアが求められるのです。
1.2 耳掃除をしないとどうなるの 外耳炎や耳ダニのリスク
愛犬の耳掃除を怠ると、さまざまな耳のトラブルが発生するリスクが高まります。特に注意したいのが、外耳炎と耳ダニです。
1.2.1 外耳炎
外耳炎は、犬の耳の病気の中で最も一般的なものです。耳道に炎症が起こることで、以下のような症状が見られます。
| 症状 | 詳細 |
|---|---|
| 耳の赤みや腫れ | 耳の入り口や内側が赤く腫れ上がります。 |
| 強いかゆみ | 愛犬が頻繁に耳を掻いたり、頭を振ったりするようになります。 |
| 耳垢の増加と変化 | 通常の耳垢とは異なり、量が増えたり、色や臭いが変化したりします。黄色、茶色、黒っぽい耳垢が見られることがあります。 |
| 不快な臭い | 耳から酸っぱいような、あるいはカビのような不快な臭いがします。 |
| 痛みや不快感 | 耳に触られるのを嫌がったり、耳を触るとキャンと鳴いたりすることがあります。 |
外耳炎の原因は、細菌や真菌の感染、アレルギー、耳道内の異物など多岐にわたります。放置すると慢性化し、治療が長引くだけでなく、中耳炎や内耳炎へと進行する可能性もあります。愛犬に痛みや不快感を与え続けることにもなりかねません。
1.2.2 耳ダニ
耳ダニは、耳道内に寄生する小さなダニで、特に子犬によく見られます。感染すると激しいかゆみを引き起こし、以下のような症状が現れます。
- 激しいかゆみ: 耳を頻繁に掻きむしり、時には皮膚に傷をつけてしまうこともあります。
- 黒っぽい耳垢: 乾いたコーヒーかすのような、黒い耳垢が大量に発生します。
- 頭を振る、耳を傾ける: 不快感から頭を振ったり、片方の耳を傾けたりする行動が見られます。
耳ダニは他の動物にも感染する可能性があるため、多頭飼いの場合は特に注意が必要です。早期発見と適切な治療が重要となります。
これらの耳のトラブルは、愛犬に大きな苦痛を与えるだけでなく、治療にも時間と費用がかかる場合があります。日頃からの適切な耳掃除は、これらのリスクを低減し、愛犬の健康と快適な生活を守るための第一歩となるのです。
2. 自宅でできる犬 耳掃除 準備するものと環境づくり
2.1 必要な道具を揃えよう イヤークリーナーとコットン
愛犬の耳掃除を安全かつ効果的に行うためには、適切な道具を揃えることが重要です。ここでは、自宅での耳掃除に必要な基本的な道具をご紹介します。
| 道具 | 選び方とポイント |
|---|---|
| 犬用イヤークリーナー | 必ず犬専用のものを選びましょう。アルコールフリーで刺激が少なく、耳垢を柔らかくして浮かせやすい成分が配合されているものがおすすめです。使用前に製品の指示をよく読み、適切な量と方法で使用してください。 |
| コットン(脱脂綿、コットンシート) | 耳の表面や入り口を優しく拭き取るために使います。繊維が残りにくく、柔らかいタイプの脱脂綿や大きめのコットンシートを用意しましょう。清潔なものを常に使用し、使い捨てにしてください。 |
| 清潔なタオル | イヤークリーナーが飛び散るのを防いだり、耳掃除後に耳周りを拭いたりするのに使います。また、愛犬を優しく包み込んで安心させる際にも役立ちますので、吸収性の良い、清潔なタオルを数枚用意しておくと便利です。 |
| ご褒美のおやつ | 耳掃除を愛犬にとって「良いこと」と認識させるための大切なアイテムです。愛犬が大好きなおやつを準備し、耳掃除の前後や途中に与えることで、ポジティブな経験として記憶させることができます。 |
2.2 愛犬がリラックスできる場所を選ぼう
耳掃除は愛犬にとって、必ずしも快適な時間ではないかもしれません。そのため、愛犬が安心して身を任せられるような、落ち着いた環境を整えることが非常に重要です。場所選びのポイントを以下にまとめました。
- 静かで落ち着ける空間
テレビの音や来客、他のペットなど、気が散る要素が少ない場所を選びましょう。愛犬が普段から安心している場所、例えばお気に入りのベッドの近くや、静かな部屋の一角などが適しています。 - 明るく見やすい場所
耳の中の状態をしっかりと確認できるよう、十分な明るさがある場所を選んでください。自然光が入る場所が理想的ですが、必要であれば手元を照らすライトなどを活用しても良いでしょう。 - 滑りにくい床面
愛犬が体を動かした際に滑って転んだり、不安定になったりしないよう、カーペットの上や滑り止めマットを敷いた場所など、足元が安定する場所を選びましょう。愛犬が落ち着いていられることが大切です。 - 飼い主も愛犬も楽な姿勢
飼い主様が無理な体勢で作業すると、集中力が途切れたり、愛犬に不安を与えたりする原因になります。愛犬を抱っこしたり、膝に乗せたり、伏せの姿勢で落ち着かせたりと、お互いにとって最もリラックスできる体勢を見つけることが大切です。
これらの準備をしっかり行うことで、愛犬の耳掃除がよりスムーズに、そして愛犬にとって負担の少ない時間になるでしょう。
3. 愛犬が喜ぶ 犬 耳掃除の正しい手順と嫌がらないコツ
愛犬の耳掃除は、健康維持のために欠かせないケアの一つです。しかし、多くの犬が耳を触られるのを嫌がり、飼い主様もどうすれば良いか悩むことがあります。ここでは、愛犬が耳掃除を嫌がらず、むしろ喜んでくれるような正しい手順と、実践的なコツをご紹介します。愛犬との信頼関係を深めながら、耳の健康を守りましょう。
3.1 優しく触れる練習から始めよう
いきなり耳掃除を始めるのではなく、まずは耳に触られることに慣れてもらう練習から始めましょう。この段階で無理強いは絶対にしないことが大切です。愛犬がリラックスしている時に、優しく声をかけながら行います。
- 耳の周りを優しく撫でる
愛犬が気持ちよさそうにしている時に、耳の付け根や周りをそっと撫でてあげてください。 - 耳をめくる練習
耳の付け根を撫でることに慣れてきたら、短時間だけ耳をめくってみましょう。すぐに元に戻し、褒めてご褒美を与えます。 - 指で耳の入り口を触る
耳をめくることに抵抗がなくなったら、清潔な指で耳の入り口をそっと触ってみます。これも短時間で終え、褒めてあげましょう。
これらの練習を毎日数回、短い時間で繰り返すことで、愛犬は耳を触られることへの抵抗感を減らしていきます。焦らず、愛犬のペースに合わせて進めてください。
3.2 イヤークリーナーを使った耳掃除の基本
耳掃除には、犬専用のイヤークリーナーと清潔なコットンを使用します。綿棒は使わないでください。正しい手順で優しく行うことが、愛犬が嫌がらないための重要なポイントです。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ステップ1 | イヤークリーナーの準備と注入 | 耳の入り口に優しく滴下します |
| ステップ2 | 耳の付け根を優しくマッサージ | クチャクチャと音がするまで行います |
| ステップ3 | 浮き出た汚れを拭き取る | 清潔なコットンで丁寧に拭き取ります |
3.2.1 ステップ1: イヤークリーナーの準備と注入
まずは、愛犬を落ち着かせ、リラックスできる体勢にさせます。イヤークリーナーのボトルを人肌程度に温めておくと、冷たい液体が耳に入る不快感を軽減できます。耳の入り口にイヤークリーナーを数滴、優しく滴下します。この時、イヤークリーナーの先端が耳の奥まで入りすぎないように注意してください。愛犬の頭を軽く持ち、耳の穴が上を向くようにすると注入しやすくなります。
3.2.2 ステップ2: 耳の付け根を優しくマッサージ
イヤークリーナーを注入したら、愛犬の耳の付け根を数秒間、優しくマッサージします。クチャクチャと音がするまで揉み込むことで、耳の奥に溜まった耳垢や汚れがイヤークリーナーと混ざり合い、浮き上がりやすくなります。愛犬が痛がったり嫌がったりしないか、表情をよく観察しながら行ってください。
3.2.3 ステップ3: 浮き出た汚れを拭き取る
マッサージが終わったら、愛犬が頭を振って耳の中の液体を出すのを待ちます。その後、清潔なコットンやガーゼを指に巻き付け、耳の入り口から見える範囲の汚れを優しく拭き取ります。奥まで無理に差し込んだり、強くこすったりしないでください。汚れがひどい場合は、新しいコットンに交換しながら、きれいになるまで繰り返します。
3.3 綿棒はNG なぜ使ってはいけないのか
人間の耳掃除でよく使われる綿棒ですが、犬の耳掃除には絶対に使用しないでください。犬の耳の構造は人間とは異なり、耳道がL字型に曲がっています。綿棒を使用すると、次のようなリスクがあります。
- 汚れを奥に押し込んでしまう
綿棒で耳掃除をすると、表面の汚れを取るどころか、耳垢やゴミを耳道の奥へと押し込んでしまい、かえって耳詰まりや炎症の原因になることがあります。 - 耳道を傷つけてしまう
犬の耳道はデリケートです。綿棒の硬さや使い方によっては、耳道の皮膚を傷つけたり、鼓膜を破ったりする危険性があります。これにより、痛みや感染症を引き起こす可能性があります。
耳の奥の汚れが気になる場合は、自己判断で対処しようとせず、必ず動物病院で相談してください。
3.4 褒めてご褒美 耳掃除を楽しい時間にする工夫
耳掃除の後は、愛犬をたくさん褒めてご褒美を与えましょう。このポジティブな経験が、次回の耳掃除への抵抗感を減らすことにつながります。
- たっぷりと褒める
「よくできたね」「いい子だね」など、明るい声でたくさん褒めてあげましょう。 - 大好きなおやつを与える
耳掃除が終わったら、愛犬が一番好きなおやつを与えます。おやつをもらえると分かれば、耳掃除の時間を楽しいものだと認識するようになります。 - 遊びの時間を設ける
耳掃除の後に、おもちゃで遊んであげるなど、愛犬が喜ぶ時間を作るのも良い方法です。
これらの工夫により、愛犬は耳掃除を「嫌なこと」ではなく、「良いことがある時間」と捉えるようになり、成功体験を積み重ねることができます。
3.5 耳掃除の頻度はどのくらいが適切
耳掃除の適切な頻度は、犬種や個体差、耳の形状、生活環境によって大きく異なります。一般的には、健康な耳であれば週に1回から2週間に1回程度が目安とされていますが、愛犬の耳の状態をよく観察し、判断することが重要です。
| 耳のタイプ | 特徴 | 耳掃除の目安 |
|---|---|---|
| 垂れ耳の犬種 | 耳が垂れているため通気性が悪く、湿気がこもりやすい | 週に1回程度 |
| 立ち耳の犬種 | 通気性が良く、汚れが溜まりにくい傾向 | 2週間に1回から月に1回程度 |
| 耳毛が多い犬種 | 耳毛が耳道を塞ぎやすく、汚れが溜まりやすい | 週に1回程度、定期的な耳毛処理も考慮 |
| アレルギー体質の犬 | 耳のトラブルを起こしやすく、汚れやすい | 獣医さんに相談し、指示された頻度で |
耳垢が少ない、臭いがない、赤みがないなど、清潔で健康な状態であれば、過度な耳掃除は必要ありません。逆に、耳垢が目立つ、臭いがする、痒がっているなどの異変が見られる場合は、頻度を増やすのではなく、動物病院を受診して原因を特定してもらうことが大切です。耳掃除のしすぎは、かえって耳の皮膚を刺激し、トラブルの原因となることもあるため注意しましょう。
4. こんな時は要注意 犬の耳の異変と動物の健康管理を専門とする者に相談する目安
愛犬の耳掃除は、日々の健康管理において非常に重要です。しかし、どんなに丁寧にケアしていても、耳に異変が生じることはあります。普段と違う様子に気づいたら、自己判断せずに、速やかに専門家へ相談することが大切です。ここでは、愛犬の耳に現れる異変のサインと、専門家を受診すべき目安について詳しく解説します。
4.1 耳の臭いやかゆみ どんな症状に気を付ける
愛犬の耳に異変がある場合、飼い主様が最初に気づくことが多いのは、耳からの臭いや愛犬がかゆがっている様子かもしれません。これらのサインは、耳のトラブルが進行している可能性を示唆しています。
具体的に、以下のような症状に注意してください。
- 耳からの異臭
普段とは違う、酸っぱい臭い、カビのような臭い、あるいは腐敗したような強い臭いがする場合、細菌や真菌の感染が疑われます。 - 耳を激しくかく、頭を振る
頻繁に耳を後ろ足でかいたり、頭を左右に激しく振ったりする行動は、耳に強い不快感や痛みがあるサインです。 - 耳をこすりつける
家具や床に耳をこすりつける仕草も、かゆみや違和感の表れです。 - 耳を触られるのを嫌がる
普段は触らせてくれる耳を、急に触られるのを嫌がったり、うなったりする場合は、耳に痛みがある可能性があります。 - 耳の赤みや腫れ
耳の穴の入り口や耳介の内側が赤くなっていたり、腫れていたりする場合、炎症を起こしていることが考えられます。 - 耳垢の量や色の変化
通常よりも耳垢の量が増えたり、色が黒っぽい、黄色い、緑色など、いつもと異なる色をしていたりする場合は、異常のサインです。 - 耳からの分泌物
膿のようなベタベタした分泌物や、血が混じった液体が出ている場合は、感染症や外傷の可能性があります。 - 耳を傾ける、平衡感覚の異常
常に片方の耳を傾けていたり、まっすぐ歩けずにふらついたりする場合は、内耳に問題がある可能性も考えられます。 - 聴力の低下
呼びかけに反応しにくくなったり、物音に気づきにくくなったりするなど、聴力に変化が見られる場合も注意が必要です。
これらの症状は、一つだけでなく複数同時に現れることもあります。少しでも気になる症状があれば、放置せずに専門家へ相談しましょう。
4.2 外耳炎や耳ダニのサインを見逃さないで
前述のような耳の異変は、多くの場合、外耳炎や耳ダニといった病気が原因となっています。これらの病気は早期発見・早期治療が非常に重要です。それぞれの特徴的なサインを知り、愛犬の耳の健康を守りましょう。
4.2.1 外耳炎のサイン
外耳炎は、犬の耳の病気で最も一般的です。耳の穴の入り口から鼓膜までの外耳道に炎症が起こる状態を指します。細菌、真菌、アレルギー、異物などが原因となります。
- 耳の強いかゆみや痛み
- 耳を頻繁にかく、頭を振る
- 耳の赤み、腫れ、熱感
- 耳からの異臭(酸っぱい、カビ臭いなど)
- 黄色や緑色のベタベタした耳垢、膿状の分泌物
- 耳を触られるのを嫌がる
4.2.2 耳ダニのサイン
耳ダニは、耳の穴の中に寄生する小さなダニによって引き起こされる病気です。特に子犬や多頭飼育の環境で発生しやすい傾向があります。
- コーヒーかすのような黒っぽい耳垢が大量に出る
- 激しいかゆみで耳をかきむしる
- 頭を激しく振る
- 耳の皮膚に引っ掻き傷が見られることがある
- 耳の周りに脱毛が見られることもある
これらのサインは、愛犬の耳に深刻な問題が起きている可能性を示しています。特に耳ダニは強い感染力を持つため、他のペットへの感染を防ぐためにも迅速な対応が必要です。
4.3 自己判断は危険 専門家に相談しよう
愛犬の耳に異変を感じた時、インターネットの情報や自己流の方法で解決しようと考える飼い主様もいらっしゃるかもしれません。しかし、耳のトラブルは非常にデリケートであり、自己判断や不適切な処置は症状を悪化させたり、他の病気を見逃したりする危険性があります。
耳の奥に炎症が広がっていたり、鼓膜に損傷があったりする場合、市販のイヤークリーナーや間違った方法での耳掃除は、かえって状態を悪化させてしまうことがあります。また、耳ダニと外耳炎では治療法が異なるため、正確な診断が不可欠です。
愛犬の耳の健康を守るためには、症状に気づいたら、できるだけ早く動物の健康管理を専門とする者に相談することが最も安全で確実な方法です。専門家は、耳鏡など専門の器具を使って耳の奥まで詳しく検査し、正確な診断に基づいて適切な治療法を提案してくれます。また、自宅での正しいケア方法についてもアドバイスを受けることができます。
以下に、耳の症状と受診の目安をまとめましたので参考にしてください。
| 症状のタイプ | 具体的なサイン | 専門家への相談目安 |
|---|---|---|
| 軽度の異変 | いつもより少し耳垢が多い たまに耳をかく程度 耳の赤みはほとんどない | 自宅での耳掃除で改善が見られない場合、または数日様子を見ても変化がない場合。 |
| 中程度の異変 | 耳からの異臭がする 頻繁に耳をかく、頭を振る 耳の入り口が少し赤い、腫れている 耳垢の色や量に明らかな変化がある | 症状に気づいたら、速やかに専門家へ相談しましょう。放置すると悪化する可能性があります。 |
| 重度の異変 | 耳から膿や血が出ている 耳を触ると激しく嫌がる、痛がる 耳の腫れがひどい、熱を持っている 平衡感覚がおかしい、まっすぐ歩けない 食欲がない、元気がなくぐったりしている | 緊急性が高い状態です。すぐに専門家を受診してください。内耳炎や全身症状に発展している可能性があります。 |
愛犬の健康は飼い主様の注意深い観察から始まります。異変に早く気づき、適切な対応をすることで、愛犬の耳のトラブルを最小限に抑え、快適な生活を送らせてあげることができます。
5. 普段からできる耳の健康ケアと予防法
愛犬の耳の健康を守るためには、日々のちょっとしたケアが非常に大切です。耳掃除以外にも、普段からできる予防策を講じることで、耳のトラブルを未然に防ぎ、愛犬が快適に過ごせるようになります。
5.1 耳周りの毛の処理で通気性を良くする
特に垂れ耳の犬種や、耳の穴周りに毛が密集して生える犬種の場合、耳の通気性が悪くなりがちです。耳の周りの毛が伸びすぎると、耳の穴を塞ぎ、湿気がこもりやすくなります。この湿った環境は、細菌や真菌が繁殖するのに最適な場所となり、外耳炎などの耳のトラブルを引き起こす原因となることがあります。
そのため、定期的に耳周りの毛を処理し、耳の通気性を保つことが非常に重要です。自宅でケアする際には、犬用のハサミやバリカンを使用しますが、愛犬の皮膚を傷つけないよう細心の注意を払う必要があります。
自宅での耳毛処理は、愛犬が落ち着いている時に、少しずつ行うようにしてください。耳の入り口付近の毛をカットするだけでも、通気性は大きく改善されます。また、耳の奥の毛の処理は専門的な知識と技術が必要な場合があるため、無理をせずトリミングサロンのプロにお任せするのも良い方法です。トリミングサロンでは、犬種や個体に合わせて、耳の毛を抜いたり、バリカンで短く整えたりしてくれます。
| 耳毛処理のポイント | 注意点 |
|---|---|
| 定期的なチェックと処理 | 毛が伸びすぎて耳を塞ぐ前に対応しましょう。 |
| 適切な道具の使用 | 犬用のハサミやバリカンを使用し、清潔に保ちましょう。 |
| 優しく丁寧に行う | 愛犬が嫌がらないように、焦らず少しずつ進めましょう。 |
| 皮膚を傷つけない | 耳の皮膚はデリケートなので、細心の注意を払いましょう。 |
| プロの活用も検討 | 不安な場合や奥の毛の処理は、トリミングサロンに相談しましょう。 |
5.2 シャンプー時の耳の保護も忘れずに
愛犬をシャンプーする際、耳の中に水が入ってしまうと、それが耳のトラブルの大きな原因となることがあります。耳の中に水が入ると、湿気がこもりやすくなり、細菌や真菌が繁殖しやすい環境を作り出してしまいます。これが、外耳炎などの炎症を引き起こすきっかけとなることが少なくありません。
シャンプー中は、耳の中に水が入らないように細心の注意を払うことが大切です。具体的な方法としては、シャンプー前に脱脂綿や犬用の耳栓を耳の入り口に軽く詰めるのが効果的です。この時、奥まで強く押し込みすぎないように注意し、シャンプーが終わったらすぐに取り除くようにしてください。
また、シャンプー後は、耳の入り口の水分を優しく拭き取り、耳の内部をしっかりと乾燥させることが非常に重要です。ドライヤーを使用する場合は、必ず冷風または微温風に設定し、愛犬から十分な距離を保ちながら、短時間で耳の中の湿気を飛ばすようにしましょう。自然乾燥に任せるだけでは、湿気が残ってしまい、かえってトラブルの原因となることがありますので、注意が必要です。
| シャンプー時の耳ケアのポイント | 具体的な方法と理由 |
|---|---|
| 耳の入り口を保護 | 脱脂綿や犬用耳栓を軽く詰めて、水の侵入を防ぎます。 |
| シャンプー時の姿勢 | 愛犬の顔を上向きにし、耳を立てて水が入りにくいようにします。 |
| シャンプー後の拭き取り | 耳の入り口の水分を、清潔なタオルで優しく拭き取ります。 |
| 耳の乾燥 | 冷風または微温風のドライヤーで、しっかりと耳の中を乾燥させます。湿気が残るとトラブルの原因になります。 |
| 保護材の除去 | シャンプーが終わったら、詰めた脱脂綿などはすぐに取り除きます。 |
6. まとめ
愛犬の耳掃除は、ただ汚れを取り除くだけでなく、愛犬の健康を守り、快適な毎日を過ごしてもらうための大切なケアです。耳の構造上、汚れがたまりやすく、放っておくと外耳炎や耳ダニといったトラブルに繋がりかねません。だからこそ、定期的なケアが非常に重要となるのです。
自宅での耳掃除は、正しい知識と方法で行えば、愛犬との大切なコミュニケーションの時間にもなります。必要な道具を揃え、愛犬がリラックスできる環境で、優しく、そして褒めながら行うことが成功の秘訣です。特に、綿棒は耳の奥を傷つけたり、汚れを押し込んでしまったりする危険があるため、絶対に使用しないようにしてください。正しいイヤークリーナーの使い方をマスターし、愛犬が嫌がらないペースで進めることが何よりも大切です。
また、耳の臭いやかゆみ、赤みなど、普段と違う異変に気づいた際は、自己判断せずに、すぐに動物病院の先生に相談することが、愛犬の耳の健康を守る上で最も大切なことです。日頃から耳周りの毛の処理やシャンプー時の保護を心がけることも、耳のトラブルを未然に防ぐ効果的な方法と言えるでしょう。
愛犬が健やかに、そして幸せに暮らすために、無理なく、そして愛情を込めて耳のケアを続けていきましょう。愛犬家にとってタメになる情報を発信しています。是非他の記事もチェックしてみてください。




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